重厚で鈍い輝きを放つ、日本の「美」
神奈川県の南東部、三浦半島に位置する逗子市、披露山庭園住宅地。
西に富士山と江の島、南に大島の眺望を備えた、風光明媚で緑豊かな環境に包まれた住宅地である。昭和43年に標高 80 mほどの小坪山で造成開発されたこの地は、厳しい建築条件や地下埋設された電気設備など、徹底された景観保全の管理・運営により、おおらかで豊かな住環境が保たれている。
この日本一とも評される住宅地に週末住宅兼ゲストルームを計画することとなった。
敷地は十字路に面した北西向きの角地で、北側道路と敷地は最大で2mほどの高低差がある。敷地が一段高くなっていることから北西方向への視界の抜けは良好で、江の島、富士山を一望できる。周辺環境と双方のプライバシーを保ちながら、眺望を最大限確保する必要があった。
建物は南北に配した、それぞれが深い軒を有する大小2つの棟から構成されている。深い軒は日本の気候と相性が良く、屋根が描く美しい稜線は日本的な美を感じさせる。また、ヴォリュームを二分し一方の高さを抑え、樹木を豊富に施すことで、高さ方向のヴォリューム感を緩和。植栽と建物が同程度のヴォリューム感で共存し、周辺へ圧迫感を与えることがないよう配慮している。
南棟は地下1階、地上2階の3層とし、1階はセミパブリックな空間としての LDK、2階はプライベート性の高い各個室、地下は隠れ家のようなシアタールーム兼バーを配置した。北棟はパブリックな空間としてゲストルームや書斎を2層構造で計画し、南棟からの眺望に配慮し半階下げて建物高さを抑えている。
スキップフロアとなる2棟間を中庭や抜け感のある階段で繋ぎ、それぞれが緩やかな関係性を保ったまま空間を二分している。
1階は周辺とのプライバシー、共存に配慮し極力開口部を設けず、諸処に配した中庭から採光と通風を確保している。耐久性の観点からもコンクリート造とし、2階は眺望のため、窓面を最大限確保できるよう木造ラーメン構造(KES 構法)を採用した。2階バルコニーの腰壁は、眺望を確保しつつ周辺からの視線を遮るために必要な高さを、綿密な検討のうえ設定している。
床材や天井には無垢材、壁には漆喰等、自然素材を使用している。月日を重ねることで深い輝きと味わいを増していく。緩やかに成長する樹木は、次第に建物を覆い、さらに緑深い豊かな場所へと変えていく。
場所には特有の地域性や歴史がある。決して奇をてらうことなく、この場所に佇むにふさわしい建築でなくてはならない。煌びやかな輝きではなく、重厚で鈍い輝きを放つ。神社仏閣のような日本の「美」の意識にもう一度目を向けた。明るさや構造材の細さ、軽さではない、太く力強い骨格、陰のある空間が重要なのである。この建築はこれから先、長い年月を経て、深い輝きを増し、より重厚な空気感をまとうだろう。この地の歴史を共に刻み、永く在り続け、日本の「美」を感じさせる建築となることを切に願っている。(河口佳介)
戸建新築住宅 : 001
神奈川県逗子市
設計 | 河口佳介+ K2-DESIGN
施工 | ASJ 町田スタジオ [株式会社小野組]
撮影 | 土橋一公
villaのように暮らしたい。
それがクライアントの要望であった。敷地は、静かな住宅地を抜けた、緑豊かな山林に囲まれ、遠目に相模湾を望む崖の先端に位置している。まさにクライアントの希望を満足する理想の立地条件であった。
villaとは本来、別荘や庭付きの大きな郊外邸宅を指すが、私はこのような住宅地で、仕事や通学等の日常にまつわるさまざまな行為と、安らぎや憩いなどの避暑に求められる非日常の行為を、同時に満足させる空間を実現したかった。
さまざまな要素がある中、西側に隣接する住宅群からのプライバシーを守りながら、最大限の魅力である山林と海を関係づけ、それが家族の抑揚をもたらす場となればよいと考えた。
相模湾を望む展望のような2階のパブリティックテラスは、さながら船の先端から大自然を望むようだ。敷地の最南端に設けたプールは水盤のような役割を果たし、木々と空を映しこみ、夜は水門を作り出し、風景に溶け込む。
ここは、外部と内部という明確な場のヒエラルキーはなく、すべて等価値な居場所となっている。環境に対峙したそれぞれの風景を作り出すことで、敷地全体に居場所が生まれ、さまざまなシークエンスをもつ「場」が生まれる。そのことで、家族の日常と非日常を支える、さながら別荘のような家族の居場所を作り出している。
(河内真菜)
戸建新築住宅 : 002
神奈川県
設計 | 河内真菜/一級建築士事務所アトリエマナ
施工 | ASJ横浜南スタジオ[中野工務店株式会社]
撮影 | Nacása & Partners Inc.藤井浩司
戸建新築住宅 : 003
静岡県富士宮市
設計 | 庄司寛/庄司寛建築設計事務所
施工 | ASJ三島スタジオ[株式会社池田工務店]
撮影 | 小川重雄
2×r21 ……半径21mのふたつの円弧。
ご夫婦と3 人の子供たちのための住宅である。コンクリート打ち放しにこだわりをもつご主人の要望から、基本構造フレームはRC造とし、コンクリートとガラスの素材感を生かした象徴的な建築デザインを目指すこととなった。
計画地は静岡県富士宮市。JR 富士宮駅から富士山方向に車で15 分ほどの場所にあり、駿河湾へとなだらかに下っていく富士山南山麓の傾斜地にある。敷地形状は緩やかにカーブする幅員4 mの道路を南側に抱えた異形三角形の地型で、北側にはクライアントのご 両親が居住する母屋や倉庫などが点在するロケーションであった。敷地からは間近に雄大な富士山を望み、駿河湾方向には遠く周辺の山々も垣間見ることができる。
計画では、母屋との関係性を重視しながら、コンクリートとガラスによるシャープな造形と共に、雄大な富士山に抱かれたこの土地のおおらかな風土に融合した鷹揚な佇まいを持つ建築を提案したいと考えた。
[ 2×r21 ……半径21 mのふたつの円弧]
この三角形の敷地上に半径21 mの交差するふたつの円弧をプロットし、その円の中心を結ぶ軸線上に円弧を跨ぐように台形平面+ 門型立面の住宅ヴォリュームをプログラムする。このふたつの円弧が重なり、その円弧上 に建てられた湾曲するコンクリート壁で囲まれたエリアは、シンボルツリー(イロハモミジ)が植えられた前庭や裏庭と共に家族のための空間を内包し、プライバシーが保たれた安定した居住性をこの住宅にもたらしている。またこの象徴的なコンクリート壁は、ガラスの素材感が際立つ門型の住宅ヴォリュームと一体となって、この建築の印象的な造形を創り上げる。
来訪者はプライベートエリアを守る円弧状の壁に沿って奥へ導かれ、高さ5mの扉を介して正面間近に雄大な富士山を望む玄関空間に入る。玄関ホールには表・裏の玄関を設けることで母屋へと通じる動線を確保し、その関係性を確立させた。
この象徴的なふたつの円弧が創り上げるデザインコンセプトが、敷地の持つ最大のコンテクストである雄大な風景と呼応し融合することで、この住宅にこの上ないおおらかな居心地の良さをもたらすと考えている。
(庄司寛)
戸建新築住宅 : 004
大阪府池田市
設計 | 畑友洋/畑友洋建築設計事務所
施工 | ASJ り’ あさスタジオ[阿佐建築工務株式会社]
撮影 | 矢野紀之
大地を複層化する建築ができないだろうか。
大地にスラブを積層した建築を置くのではなく、大地そのものを複層化させるイメージである。そこでは、光や風、周辺の環境や機能に応じて自由な形態となって現れる大地がスタッキングされていき、内部空間はどの層にあっても交換可能なアタッチメントとして配置される。すべての大地の層には外部環境が定着する余地があり、内外の豊かな関係が紡がれる。スタッキングされた大地の層は、見上げると「空の地形」として重なり合い、下部の空間の質を変化させていく。
大地を複層化させるという建築のイメージを実現させるために、構造家の萬田隆氏との議論から、自然界の樹木に見られる立体分岐する枝の仕組みを構造システム化し、層間のずれに追随する折れ枝のような柱で支える仕組みがふさわしいのではないかという結論に至った。
この折れ枝のような鋼管は、傾きながら分岐、合流を繰り返し、自由な形状の地形のスタッキングに追随できると共に、構造壁が不要となる構造システムである。
また、この折れ枝の鋼管はパイプスペースでもあり、各層における大地の上に配置された内部空間となるアタッチメントは、自由に更新可能となる。
従来の壁、柱から解放された各層は、通りの並木や庭の樹木の成長を想定した気積を避けてカーブし、風や光を受け渡すような形態が現れた地形として積層されていく。
この建築は、高層化モデルまでを視野に入れ考察してきた経緯があり、環境をつくり定着させながら成長し、更新されるような都市の風景を思い描いていた部分もある。
この建築では、街区で大切にしてきた桜並木を含め、全ての層が地域の一部として根づいていける、外部環境としての依り代が用意されており、どこにいても文字通り「大地と共にある生活」がある。
各層における植物は層間を超えて繋がり、生活もまた繋がっていく。
大地に育まれた木の実を求め鳥がやってくる。
鳥が運んできた新しい種子が発芽し、花を咲かせ、窓辺を彩る。
身近な生活の断片に繰り返される大地のサイクルが、人とこの街にとって豊かなものになることを目指した実践である。(畑友洋)
戸建新築住宅 : 005
愛媛県松山市
設計 | 高吉輝樹/TT Architects
施工 | ASJ 松山中央スタジオ [株式会社富士造型]
撮影 | 杉野圭
ソメイヨシノの樹の下で。 春を喜び、子の成長を喜ぶ。
場所は愛媛県松山市の市街地。景観条例が敷かれている地域で、近隣にある歴史的景観資源や、風情のある水路や石畳が周囲の豊かな自然景観を醸し出していました。また、敷地には樹齢の深い、高さ 10m を超えるソメイヨシノの樹が植わっていました。この樹を主眼において設計することが、クライアントからの強い要望であり、私たちもそう在りたいと考えました。
まず、周辺には中層のマンションなどもあることから、垣根程度ではプライバシーの確保は難しく、敷地を3m の RC 壁で囲うことにしました。高い壁は、街に対して閉鎖的な印象になりがちですが、壁を分節し、道路に面するポーチを広めに設けることで、周辺環境に圧迫感を与えないように配慮しました。また歴史的景観との調和のために、コンクリートは杉板型枠を選びました。石畳の歩道を行き交う人々は、その壁を超えて桜の樹冠を見渡すことができます。
建物は、桜の樹を囲うようにコの字型のレイアウトとし、ヴォリュームを前面道路からセットバックするにつれて、1 層から 2 層に上げていくことで、自然にスケールアップをしています。
家族が集まるリビングを落ち着ける場所とするために、他のフロアレベルから1段下げ、ダウンリビングとしています。またリビングの天井高を3.7m とし、子供たちが使う2階のワークスペースとガラスで繋ぐことで、子供たちの気配を感じられるようにしています。
色彩計画については、桜のピンク色を強調するために、建築材料を無彩色のグレーに統一しました。色は同一で、コンクリート、石、タイル、金属、ファブリックなど、素材を変化させることで、マテリアルエクスペリエンスを体感できるように試みました。またグレーのみだと無機質となるので、外壁材、フローリング材の木部は生地のままとし、温かみを感じさせる建築となっています。
もうすぐ竣工という春に、クライアントに新たな子が生まれました。大きな桜の樹の下で、子供たちが自由に遊び、このソメイヨシノが子の成長を見守ってくれることを願います。(高吉輝樹)
戸建新築住宅 : 006
長崎県大村市
設計 | 佐藤正彦/アーキテクト憧
施工 | ASJ佐賀西スタジオ[株式会社上山建設]
撮影 | 石井紀久
家族が安心して楽しめる住宅空間。
プライバシーとセキュリティ性能を確保しつつ、家族が安心して楽しめる住宅空間をつくることをコンセプトに設計を進めました。 建物正面の縦シェードは水平さを強調し建物全体にリムを与え、夜になればまた異なる表情の変化を楽しむことができます。木を使ったあたたかな雰囲気のある玄関の空間を抜けると、大きなガラスの向こうには季節を感じることのできる中庭が出迎えます。この中庭はリビングに面しており、日々の生活の中でも移りゆく自然を感じることができます。
さらに中庭に面したリビングの反対側には、プライベートな庭を設けており、リビング、キッチン・ダイニングで囲まれるように配置しています。リビングは、2階分の天井高をとり、大きく開けられた開口部から室内に自然光を十分に内部にもたらします。 キッチン・ダイニング奥の階段横の収納の上は、中2階の書斎の机と一体となっており、 階段6段分の広い仕事机が階段横に現れます。
書斎の奥の階段を上った2階には、子供部屋と寝室を配置しています。建物の裏側は建物正面から見る2階建ての外見とはまた異なる顔を持ち、中心である中2階の書斎の部屋の軒をブラックにすることで建物全体を引き締めます。ファザードには2階の子供室、主寝室とリビング吹抜けの3つのボックスをつくり、室内は家族のコミュニケーションを取りやすくするために3層のステージで構成しています。
建物全体は自然を生活の中に取り込みつつ各部屋が独立しており、プライベートな空間も合わせ持つ配置計画となっています。
(佐藤正彦)
戸建新築住宅 : 007
三重県
設計 | 岸研一
施工 | ASJ 四日市スタジオ
撮影 | 小川重雄
暖かな灯りで家族を迎える、心地よい空間。
敷地は、標高1,200m前後の鈴鹿山脈の東側裾野で、古い民家が建ち並ぶ集落に在る。東側の山裾であるため、西日の影響は受けにくい反面、日照時間が短く、鈴鹿おろしと呼ばれる山風による気象の影響も少なからず受け る地域である。築55年の母屋と前庭を共有するかたちで建物を配置した。迎門をくぐり、屈曲した長いアプローチがある前庭が、新旧の建物を緩やかに融合してくれる。瓦葺で大きな切妻屋根の母屋の屋根形状を継承し、母屋と同じく4寸勾配の切妻屋根を、近代の素材であるガルバリウム鋼板横葺きで次世代へ繋ぐデザインとした。
この家のメインとなる大きなL型の配置の LDKは、一部平屋建てで、屋根勾配なりの高い天井高を確保した。東西に抜けた開口部からは緑が見え、視線の抜けと共にリビング空間がそのまま外部に流れ出るテラスを設けた。隣家がある南側には開口部を設けず、日中は直射日光を避け、明るく照らされた東西に在る庭の生き生きとした緑から心地よい光と風を内部に取り込む計画である。LDKは、勾配天井やさまざまな天井高、床の段差を設けることで空間に変化をもたらし、ほどよく分割し、家族にさまざまな居場所を作った。どの場所からも庭の木々が見える空間である。
年頃の子供たちと共働きのご夫婦の5人家族が、それぞれの生活リズムで好きなことをしながらも、同じ空間で同じ時を過ごすことができるリビング・ダイニングは、多様化した現代の生活には必要不可欠である。成長し、巣立っていく子供たちにとってはこの家が原風景となり、日が暮れて迎門をくぐると、前庭の木々越しに浮かんで見える、灯りがついたリビングが、家族にとって帰る場所になるような家になってほしいと願っている。 (岸研一)
戸建新築住宅 : 008
三重県
設計 | 吉川弥志/吉川弥志設計工房
施工 | ASJ 四日市スタジオ
撮影 | 冨田英次
静穏と開放性を内包する住宅。
三重県北部桑名市の中心部より西、なだらかな丘を上った場所に建つ住宅。その場所は周囲に対して高低差があり眺望も良く、遠くは名古屋の高層ビル群まで望むことができる。
クライアントからの要望は少なく、車2台の駐車と家族3人が安心して暮らせることであった。日本と海外を行き来するクライアントが安らぐことができるように、プライベートスペースは周囲からの視線を避けた専用コ ートを設けて落ち着きを高め、眺望の良い2階はオープンなパブリックスペースとした。
桑名市は比較的温暖な気候ではあるが、夏場は特に蒸し暑くなるため空調に頼りがちになる。そのため、空調ばかりに頼りすぎない環境型住宅として快適に暮らせることも目的とした。南の日差しに対し水平に張り出した庄や西日を遮る壁は、日射熱を効果的に遮ると同時に外観をデザインするための重要なファクターとして扱い、日常は最小限の設備で暮らすことを可能としている。
プライバシーを高めた個室に対し、開放的 なリビングルーム。海外からのゲストも想定したおもてなしの茶室や眺望を楽しむテラスは、日々の暮らしだけでなくそれ以上に豊かな暮らしを得ることができる。大きな住宅では長くなりがちな動線に対し、コンパクトな移動を可能とするようにエレベーターを中央に配置。一方で住宅のヴォリュームを感じられるように玄関から20mの長い廊下を設けている。廊下が単調な移動になることを避け、空間の期待感を高めることができるように、その先の階段ホールは2階からの光が降り注ぐ、広がりのあるスペースとした。
住宅のヴォリュームに圧迫感を受けないよう、庭や格子による視線の抜けなど余白の領域をつくり、壁の構成に奥行きと陰影をつけている。さらに、敷地角の空地は車や通行する人々の視界を遮らないよう配慮すると共に、植栽を設けることで人々へ季節感や安心感を与えている。
静穏と開放性の両方を内包したこの住宅 は、心地よい風を感じ、葉擦れの音に耳をかたむけ、落ち着きをもたらすことができている。
(吉川弥志)
戸建新築住宅 : 009
大阪府吹田市
設計 | 平岡孝啓+平岡美香/平岡建築デザイン
施工 | ASJ 品川スタジオ [AT インターナショナル株式会社]
撮影 | 笹の倉舎 笹倉洋平
非日常を、日常として感じることができる贅沢な癒し
閑静な住宅街に建つ木造住宅のリノベーションです。お施主さんご夫妻は、私たちが以前携わった住宅「リゾートライフリノベーション (A-collection 020 掲載)」に興味をお持ちで、素材構成による情感と水盤による癒しを求めておられました。リゾート空間に変えていくために、いくつかの工夫をしました。内外を繋ぐものとして、 50 角二丁の深目地タイルを製作。庭を囲むタイルの塀は、同じ質感で室内の壁面へ繋がります。
木造住宅ゆえに庭の地面と内部床のレベル差が大きく、普通に水盤をつくると、腰かけた視点から水面が見えなくなります。テラス面を1階の床レベルまで上げて、水面もそのレベル近くに設定して親水感を強めました。庇を延ばして内部からの視界を絞りこむことで、隣の建物の近接による現実感を解消しました。庇は直射日光を遮ること、軒下が広がり内外をよりスムーズに繋ぐことのためにも効いています。
ダイニングにあったシャンデリアは、ダイニングから見える階段室の踊り場に移設しました。外光が多いダイニングでは感じられなかった、光を孕むような輝きを放っています。階段室からはシャンデリア越しに水盤を見ることができます。2階へ上がりきれば以前の暮らしの雰囲気が感じられるアンティークな家具が置かれているコーナーが広がります。
水盤の近さによる効果は大きく、日中の多くの時間帯に水面の光が間接光として室内に入り、ダイニングの吹き抜け天井を彩ります。水辺のふたつのテラスは、バーベキューができる外部ダイニングとして、夜はお酒を楽しむ外部リビングとして、くつろぐことができます。水面を眺めることで「つい時を忘れてしまう…」との言葉をいただきました。
居場所が豊富なこの内外の空間を活かして、料理上手な奥さまが腕を振るうホームパーティが開かれているようです。ゲストが感じるホテルのような非日常を、日常として感じることができる贅沢な癒しのお家となりました。